アクセスカウンタ

2010年11月のブログ記事  >>  help RSS

トップへ


無形資産

2010/11/29 18:54
 我が国では、無形固定資産に係る包括的な会計基準等はなく、企業会計原則や財務諸表等規則等で無形固定資産の種類を例示列挙するに止まりますが、IFRSでは、IAS第38号「無形資産」で包括的な基準を定めています。
 IAS第38号では、無形資産を下記のように定義しています。
 @過去の事象の結果として企業が支配している。→支配
 A将来の経済的便益が企業へ流入することが期待される。→将来の経済的便益
 B物理的実態のない識別可能な非貨幣制資産である。→識別可能性
 上記定義に該当するものは、無形固定資産として処理することになりますが、判断するには定義が抽象的で非常にわかりにくいですね。一般的事例として下記のようなものを列挙しています。 
 a ソフトウェア
 b 特許
 c 著作権
 d 映画フィルム
 e 顧客名簿
 f モーゲージ・サービス権
 g 漁業免許
 h 輸入割当額
 i 独占販売権
 j 顧客又は仕入先との関係
 k 顧客の忠実性
 l 市場占有率及び市場取引権
 顧客名簿等、従来の日本基準では使用されていなかった項目が例示されていますが、無形資産は、企業結合により取得するケースが多く見受けられ、これまでは企業結合の際に超過収益力として一括処理されていたのれんを、今後は顧客名簿やブランド等として個別に識別して処理する必要があります。
 無形資産として認識した後の会計処理ですが、現行日本基準では、借地権、電話加入権以外の無形固定資産は税法耐用年数で減価償却するケースが多いですが、IFRSでは、IAS第38号89項で「無形資産の会計処理は、耐用年数を基礎とする。耐用年数を確定できる無形資産は償却し、耐用年数を確定できない無形資産は償却しない。」
とあるように、まず資産ごとに耐用年数の確定の可否を検証し、耐用年数を確定出来るものは減価償却を行い、確定出来ないものは減価償却を行わず減損の対象とすることにしています。
 →無形資産の耐用年数を見積もる事は、有形固定資産以上に困難だと思います。有形固定資産の場合は、物理的に減価していくので、構造、用途、実績等により耐用年数のおよその見当はつきますが、無形資産の場合は、経済的価値の効果の及ぶ期間を見積る事が必要となり、客観的な見積りと立証は相当な困難が予想されます。 
 日本基準との重要な相違点として、のれんの取り扱いがあります。日本基準では、のれんは、20年以内の期間で規則的に償却することになっていますが、IFRS第3号ではのれんを「企業結合で取得した、個別に識別されず独立して認識されない他の資産から生じる将来の経済的便益を表す資産」と定義し、識別不能という点で無形資産から除外し、償却を禁止して、毎期減損の判定を行うことにしています。
 あと、研究開発費ですが、日本基準では、支出時に費用処理しますが、IFRSでは研究費は支出時費用処理、開発費については、一定の条件を立証出来る場合に無形資産として認識し、償却を行うことになります。
記事へブログ気持玉 / トラックバック / コメント


有形固定資産

2010/11/26 22:22
 有形固定資産は、多くの会社でIFRS移行による影響を受ける項目だと思います。
 まず、よく話題となるのが、減価償却の方法です。日本基準では、主に定額法か定率法により、税法の耐用年数をもとに償却計算するケースが多いと思います。耐用年数については、会計理論上は、税法基準によらず自社で耐用年数を見積って設定すべきと思いますが、見積りの客観性を確保する事や税法計算との調整が煩雑となるため、殆どの会社は税法で定める耐用年数を使用しています。
 ここで、IFRS移行時に問題となるのが、定率法が使えなくなるのでは?という事です。これは、2010年4月に金融庁が公表した「IFRSに関する誤解」でも取り上げられています。多くの企業では、建物以外の有形固定資産については、定率法を採用しているので、定率法が使えないというのは、非常に困った問題となります。
 減価償却方法については、IAS第16号60項で、「使用される減価償却方法は、資産の将来の経済的便益が企業によって消費されると予測されるパターンを反映するものでなければならない。」とされています。
 現在、我が国の法人税法で採用されている定率法は、250%定率法であり、定額法の2.5倍の償却率を使用します。例えば、1,000万円の備品を取得し、耐用年数が10年の場合、定額法であれば、償却率は0.1となりますが、定率法では、0.1×2.5=0.25となります。よって、1年目の償却額は、250万円、2年目は187万円、3年目は140万円となり、償却期間の早い段階で多くの償却額が計上されることになります。これは、法人税法上の政策的な理由により行われるものであり、各資産の減価の発生態様に合わせたものではありません。勿論、上記IAS第16号で定める資産の将来の経済的便益が企業によって消費されると予測されるパターンを反映するものではありませんので、現行の法人税法による250%定率法はIFRSでは認められないという事になります。そうすると、現行定率法から定額法に変更するか、あるいは企業独自の仕様による定率法を設定する必要が出てきます。
 また、IAS第16号61項では、「資産に適用する減価償却方法は、少なくとも各事業年度末には再検討を行い、もし資産に具現化された将来の経済的便益の予測消費パターンに大きな変更があった場合には、当該の方法は変更されたパターンを反映するように変更しなければならない。」とされていますので、毎期の見直しも必要となります。
 次に耐用年数ですが、IAS第16号57項では、「資産の耐用年数は、当該資産の企業にとっての期待効用の観点から定義される。」とあるように、企業独自で見積る事が予定されています。そのため、現状の税法耐用年数をそのまま使用出来るのか否かが問題となります。
 →理屈はわかりますが、実際問題として個々の資産毎に耐用年数を見積もる事が出来るのか?そこまでする必要があるのかという疑問があります。税法耐用年数がそのまま個々の資産の耐用年数を適切に反映しているものではないという事はわかりますが、実務慣行としてそれなりの役割を果たしているのではないでしょうか。
 認識後の測定方法ですが、日本基準では、原価モデルのみですが、IFRSでは、原価モデルと公正価値モデルの選択適用となっています。公正価値モデルを選択した場合は、定期的に公正価値により再評価を行い、評価差額は資本の部に計上することになります。実務上は、公正価値モデルを選択するケースは少ないと思います。
記事へブログ気持玉 / トラックバック / コメント


会計方針の変更

2010/11/25 17:23
 今回は、会計方針の変更について。
 現在、日本基準では、会計方針の変更があった場合は、過年度遡及修正をせず、当期より会計方針の変更を行い、変更前の方法と比較した影響額の注記を行う事になっています。また、過年度に誤謬があった場合は、過年度遡及修正をせず、当期に前期損益修正として特別損益への計上を行います。会計上の見積りの変更があった場合は、当期より将来に向かって修正を行います。
 IFRSでは、会計方針の変更があった場合、過年度に誤謬があった場合、いずれも開示されている最も古い年度の期首の各資本項目及び比較対照年度の金額を遡及的に修正します。会計上の見積りの変更があった場合は、当期より将来に向かって修正を行います。尚、IFRSでは、固定資産の減価償却方法の変更は、会計上の見積りの変更として取り扱います。
 我が国では、IFRSへのコンバージェンス(収斂)の一環として、2011年4月1日以降開始事業年度より、上記IFRSへの取り扱いに変更されます。
 
 上記のような会計方針の変更及び誤謬訂正により過年度遡及修正を行う場合、会社法との関連が問題となります。
 正当な理由により会計方針の変更があった場合は、下記規定により、会社法では過年度計算書類の訂正は求められていませんが、重要な誤謬訂正があった場合は、過年度の計算書類の訂正を検討することが必要と考えられます。

会社法施行規則120条3項
第百二十条  前条第一号に規定する「株式会社の現況に関する事項」とは、次に掲げる事項とする。
六  直前三事業年度の財産及び損益の状況
3  第一項第六号に掲げる事項については、当該事業年度における過年度事項(当該事業年度より前の事業年度に係る貸借対照表、損益計算書又は株主資本等変動計算書に表示すべき事項をいう。)が会計方針の変更その他の正当な理由により当該事業年度より前の事業年度に係る定時株主総会において承認又は報告をしたものと異なっているときは、修正後の過年度事項を反映した事項とすることを妨げない。
記事へブログ気持玉 / トラックバック / コメント


IFRS VS 日本基準

2010/11/23 16:14
 IFRSと日本基準の主要な差異について考えてみようと思います。
 最初は、財務諸表の様式です。

 日本基準では、現在、下記様式となっています。
 @連結貸借対照表
 A連結損益計算書
 B連結株主資本等変動計算書
 C連結キャッシュ・フロー計算書
 D会計方針及び注記事項
 E連結附属明細表

 IFRSでは、下記様式となっています。
 @財政状態計算書
 A包括利益計算書
 B株主持分変動計算書
 Cキャッシュ・フロー計算書
 D会計方針及び注記

 上記からわかるように、IFRSでは、附属明細表の作成は不要となっています。

 次に、IFRS移行時に作成が要求される財務諸表についてですが、IFRS1号によれば、下記財務諸表が必要となります。
 (例)2016年3月期から強制適用のケース
 2016年3月期から強制適用の場合、比較情報を1年分表示する事が必要なため、2015年3月期からIFRS財務諸表に移行する必要があります。よって、IFRS移行日は、2014年4月1日となりますが、移行日現在でのIFRS開始財政状態計算書を作成する必要があるため、2016年3月期では下記財務諸表が要求されることになります。

 2014年4月1日時点の開始財政状態計算書(日本基準からIFRSへの資本調整表含む)

 2015年3月期財政状態計算書(日本基準からIFRSへの資本調整表含む)
 2015年3月期包括利益計算書(日本基準からIFRSへの包括利益調整表含む)
 2015年3月期株主持分変動計算書
 2015年3月期キャッシュ・フロー計算書
 会計方針および注記

 2016年3月期財政状態計算書
 2016年3月期包括利益計算書
 2016年3月期株主持分変動計算書
 2016年3月期キャッシュ・フロー計算書
 会計方針および注記
記事へブログ気持玉 / トラックバック / コメント


負債の評価益について

2010/11/22 17:29
 今回は、負債の評価益について考えてみましょう。
 リーマンショック以降、アメリカの銀行が業績が悪化しているにもかかわらず、公正価値オプションの選択行使により負債の評価益を計上して、話題になっていました。一般的な考えとして、業績が低下し、企業の信用リスクが悪化した場合に利益が計上されるというのは、理解し難いものがあります。そもそも負債の評価益という概念が馴染みのないものだし、利益というのは儲かっている場合に計上されるというイメージが強いので、業績低下の場合に、評価益が出るというのがなんとなくわかりにくいですね。
 負債の評価益というのは、要するに将来の借金踏み倒し利益です。会社が倒産して借金を踏み倒せば、負債を返済する必要がなくなるので、踏み倒し金額相当の利益が出ることになります。ここでの評価益は、信用リスク(借金を踏み倒す可能性)の程度に応じて評価益を計上しようというものです。
 確かに、これは理論上は正しいのだと思います。資産を時価評価するのであれば、負債も時価評価する必要があります。但し、それは客観的な評価が可能な場合に限定されるのではないでしょうか。将来の借金踏み倒しリスクなるものを客観的に評価する事が出来るのでしょうか?ここが一番の疑問です。
 時価評価を進めていくと、上記のような負債の評価損益を計上する必要性があります。米国基準では、上記のような処理が行われますが、IFRSでは、2010年10月28日に、金融負債の会計についての新しい規定をIFRS第9号「金融商品」に追加し、公正価値オプションによって負債評価益を計上する場合は、その他の包括利益として計上する事になりました。
記事へブログ気持玉 / トラックバック / コメント


包括利益

2010/11/21 14:12
 今回は、包括利益について考えてみたいと思います。包括利益とは、全ての利益という意味であり、当期純利益+その他の包括利益(主に未実現利益)で構成されます。これまで、損益計算書の最終利益は、当期純利益でしたが、IFRSではこれにその他の包括利益が加わって包括利益が最終利益となります。
 ところで、簿記を学習する時に最初に学習するのが、貸借対照表と損益計算書の関係ですね。貸借対照表と損益計算書は、試算表の段階では結合されており、決算処理で貸借対照表と損益計算書に分離されます。分離時に当期純利益が貸借対諸表の資本に振り替えられます。
 →日商簿記3級検定資産で必ず出題される精算表作成の問題ですね。最終的に損益計算書の当期純利益と貸借対照表の当期純利益が一致し、かつ損益計算書と貸借対照表の貸借額が一致すれば正解となります。
 複式簿記では、原則として損益計算書の当期純利益=貸借対照表の資本取引(配当や準備金積立等)を除く純資産増減という関係が成り立ちます(クリーンサープラス関係と呼ぶ)。ところが、現状はその他の包括利益(主に未実現利益)によってこの関係が崩れています。最もわかりやすい例として上場有価証券を取り上げましょう。
 上場有価証券については、昔は(会計ビックバン以前という意味です)、原価法と低価法の選択適用となっていました。原価法では、取得原価のままで評価するので売却するまでは損益への影響はありません。低価法を選択した場合は、期末に簿価と時価を比較し、時価が低ければ評価損を計上することになります。但し、時価が高い場合は簿価のままとなり、評価益を計上することはありません。これは会計慣行としての保守主義によるものです。これらの処理では、上記関係(クリーンサープラス)は維持されていました。ところが、会計ビックバンにより、低価法→時価法へ移行することになり、ここでクリーンサープラス関係が崩れることになります。
 つまり、時価で評価するということは、時価>簿価であっても、時価<簿価であっても、時価で評価することになります。要するに未実現損益を認識するという事です。この未実現損益を当期純利益に含めるべきか否かが問題となります。
 株式投資をすると、必ず評価益か評価損が出ます。一般投資家は逆張り投資が多いので、買ってすぐに評価損が出るケースが多いと思われます。その際、非常にブルーな気分になりますが、通常は中長期で保有する事が多いので、当然、利益が出るまでがまんして保有します。将来的に株価が上がって利益が出れば売却して実現利益となります。意に反して下がり続けて損切りという事もあります。株価というのは一本調子で上がり続ける又は下がり続けるという事は少なくて(リーマンショックのような場合は別ですが)、通常は上がったり下がったりを繰り返します。よって評価益も出れば、評価損が出る事もあり、その都度一喜一憂していては戦略を見誤る事にもなります。
 上記は、理解の助けとして投機目的を主とする個人投資家を想定していますが、会社の場合は投機目的に加え、安定株主対策による株式持ち合いという目的もあります。この場合は長期保有が前提となります。
 このような株式投資という性格を考えた場合に、株式保有による評価損益を当期の損益に含めるべきでしょうか?100で買った株が、期末に70になっている。その場合30を評価損として損益計算書に含めるべきか?あるは期末に130になった場合に30を評価益として損益計算書に含めるべきか?
 これは簡単なようで実は難しい問題ですね。確かに今売れば損失又は利益が出ますが、実際に売るまでは損益は実現しません。従来の会計理論では、未実現損益は認識しない事になっていました。当面、売却意思の無い有価証券が、たまたま時価が下がった場合に評価損失を計上する事はかえって期間損益計算を歪める事になります。また、未実現利益を配当可能利益とする事は出来ないし、税金を支払う必要もありません。一方で、評価損失が発生している事は事実であり、その事実を投資家に報告する事は重要だという考え方もあります。
 これらの相反する考え方を解決する折衷案として、我が国では、会計ビックバン以降、評価損益は損益計算書には計上せず、貸借対照表の純資産の部にのみ計上するという処理が行われてきました。これによって、クリーンサープラス関係は崩れてしまいました。但し、苦肉の策として、表示上、純資産を株主資本と株主資本以外の各項目に区分することにより、損益計算書における当期純利益の額と貸借対照表における株主資本の資本取引を除く当期変動額を一致させています。
 IFRSでは、クリーンサープラス関係維持により、評価損益も損益計算書に計上することとし、当期純利益には含まれないその他包括利益として処理することにしています。より、正確には、損益を通じて公正価値評価(FVTPL)を行う方法とその他の包括利益を通じて公正価値評価(FVTOCI)を行う方法の選択適用とし、当初認識時にFVTOCIを選択適用した場合は、損益へのリサイクリングは出来ない事にしています。
 →FVTPL=Fair Value Through Profit or Loss FVTOCI=Fair Value Through Other Comprehensive Income
 →リサイクリング=その他包括利益として処理した評価損益を売却時に洗い替え処理を行い、売却損益を当期純利益に計上する事。
記事へブログ気持玉 / トラックバック / コメント


経済的単一体説VS親会社説

2010/11/20 13:31
 今回は、「経済的単一体説VS親会社説」と題して、連結財務諸表は誰のために作成するのか?というテーマについて考えます。経済的単一体説とは、連結財務諸表は親会社(主たる株主)のみならず少数株主も含めた株主全員のために作成するものという考え方、親会社説とは親会社(主たる株主)のために作成するものという考え方です。IFRSでは、経済的単一体説を、日本は親会社説を採用しています。
 連結財務諸表とは、例えばA社がB社の100%親会社である場合、両者を一体とみなして財務諸表を合算するのですが、持ち分が100%ではなくて80%であった場合は、20%分はどう処理すべきでしょうか?20%相当のBS及びPLは、他の株主(少数株主)の所有なので、合算する必要はないようにも思いますが、実態としてはA社がB社を支配しているので、財務諸表を100%合算し、20%分は少数株主持分(IFRSでは被支配株主持分)として貸方表示することになります。但し、持分が50%以下であり実質支配が無い場合は、財務諸表全部を連結する必要はないと考えられるので、持分相当のみ部分的に連結することになります(持分法)。
 ところで、全部連結の場合の少数株主持分は、負債の部か純資産の部かいずれに表示すべきでしょうか?経済的単一体説によれば、少数株主持分も資本と考えるので純資産の部に表示し、親会社説によれば、親会社の持分のみが資本となるので、少数株主持分は負債の部に表示することになります。また、損益計算書でも親会社説に立てば、少数株主持分損益が控除されるのに対し、経済的単一説では控除されず、全損益が表示されることになります。
 支配の移転を伴わない子会社株式を売却した場合はどうなるのでしょうか?親会社説に立てば、売却損益を認識しますが、経済的単一説では資本取引となり、売却損益は認識されません。
 その他、子会社に欠損が発生する場合にも両者で取り扱いが異なります。親会社説に立てば、少数株主持分の負担は0までであり、マイナスにする事はありませんが、経済的単一説では、少数株主にもマイナス分を負担させる事になります。
記事へブログ気持玉 / トラックバック / コメント


資産・負債アプローチ

2010/11/18 19:30
 概念フレームワークの中から、まずは、「資産負債アプローチ」を取り上げましょう。
 我が国の会計基準は、これまで「収益費用アプローチ」でしたが、IFRSは「資産負債アプローチ」です。これは、簡単に言うと、損益計算書よりも貸借対照表を重視する考え方ですね。
 財務諸表には、財産の状況を表示する貸借対照表と損益の状況を表示する損益計算書とがありますが、これらのいずれに重点を置くかで会計基準も変わります。
 損益計算重視の立場は、投資家保護のためには、1年間でどれだけ儲かったか(損したか)を計算する事が財産計算より重要と考えます。
 →確かに株式投資で銘柄選定する際は、財産の状況よりも将来どれだけ利益をあげられるか(あるいは損失を出すか)を第1に考えますよね。通常は、現在の損益予測に対する達成度合いで株価が上下することになります。これまで投資意思決定に利用されていた利益概念は、主に期間損益を重視した経常利益や当期純利益等ですが、IFRSでは収益費用を発生態様で分類するため経常利益や特別損益等は表示されません。よって今後は、投資意思決定における利益概念も変わることが予想されます。投資家保護を重視するのであれば、グローバル社会での比較可能性も大事だけれど、時点比較も大事だと思うんですが・・・
 一方、IFRSも投資家保護を第1に考えている事は同じですが、投資家保護=損益計算とは考えていません。損益よりも将来キャッシュ・フローの獲得能力を表示する事がより重要と考えています。その会社が将来どれだけのキャッシュ・フローを得る事が出来るか、これを予想し、それを資本コストで割り引いた現在価値を資産として貸借対照表に表示することが重要だと考えています。これは、企業がM&A等を行う際に企業価値評価を行うための財務調査であるデューデリによく似ています。デューデリでは、一般にDCF法と言って将来キャッシュ・フローの割引現在価値で企業評価を行うのですが、IFRSでは毎期、決算時にデューデリを行っているようなものだということからデューデリ会計と呼ばれたりしています。
 →何でもかんでも時価で評価すれば良いというIFRSの考え方には疑問を感じます。上場有価証券のように証券取引所という市場で成立した時価をもって評価するのであれば、客観性は確保出来ますが、金融商品の時価評価等、客観的な時価の裏付けの無い資産・負債を時価評価する事にどれだけの意味があるのでしょうか?IFRSではこれらを有用な情報開示と考えているのでしょうが、そもそも客観性が付与されず信頼性に乏しい情報が有用と言えるのか疑問です。
 次に、IFRSのもとでの損益計算です。IFRSでは、貸借対照表重視のため、損益計算は、相対的な重要性が低下し、資本取引を除いた純資産の変動額を包括利益として表示することになります。包括利益とは、要するに全ての利益という意味であり、これまでの損益計算書で算定していた当期純利益にその他の包括利益(その他有価証券評価差額金、繰延ヘッジ損益、為替換算調整勘定等)を加えたものです。その他の包括利益とは、主に資産・負債の未実現損益です。これまで、未実現損益については、期間損益計算を歪めるという事から、損益計算書には計上されていませんでしたが、IFRSではこれらの未実現損益についても損益計算に含めることになります。日本の会計は、損益計算書重視であり、損益計算書→貸借対照表という順序で考えるため、損益計算書に計上されないものが貸借対照表に格納されます。
 →昔、大学の会計学の授業で習ったシュマーレンバッハの動的貸借対照表ですね。会計学の事は全く忘れてしまいましたが、何故かシュマーレンバッハという名前だけ覚えていて、不思議です。 
 一方、IFRSでは貸借対照表→損益計算書の流れで考えるので、資産と負債の差額である純資産の増減が損益計算書の利益すなわち包括利益となります。
記事へブログ気持玉 / トラックバック / コメント


概念フレームワーク

2010/11/13 15:18
 IFRSの特徴として概念フレームワークという言葉が出て来ますが、概念フレームワークとは何でしょうか?
ぱっと見は、意味不明ですよね。
 概念フレームワークとは、「財務諸表の作成表示に関する枠組み」の事です。
IFRSでは、日本のような細則主義と異なり、原則主義により、会計処理を行う際の具体的な判断基準や処理方法はあまり示していません。そのため、IFRSを適用するには、原理・原則に従って,企業がみずからどのように処理するかを判断する必要があります。 そこで、IFRSでは概念フレームワークとして会計に関する基本的考え方を示しています。要するにIFRSを読む上での羅針盤といったところでしょうか。→何となく重要な気がしてきましたね。

 概念フレームワークには主に下記のような事項が定められています。
  @財務諸表の目的 
  A基礎となる前提
  B財務諸表の質的特性
  C財務諸表の構成要素
  D財務諸表の構成要素の認識
  E財務諸表の構成要素の測定
  F資本及び資本維持の概念

 項目を見る限り、非常に抽象的な感じがします。

 次回より概念フレームワークの内容について考察してみたいと思います。
記事へブログ気持玉 / トラックバック / コメント


はじめに

2010/11/12 15:47
まず、はじめにIFRSとはなんぞや?ということから考えて見たい。

 IFRSとは、International Financial Reporting Standardsの略称であり、世界的に承認され遵守されることを目的として国際会計基準審議会(IASB)により設定される会計基準だそうです。→常識?
 要するに、会計基準を全世界で共通化しようという事ですが、このような動きは既に2000年頃から始まっており、いわゆる会計ビックバン(橋本首相が提唱した金融ビックバンの一環です)として、日本の会計基準を国際的な会計基準に近づけようという事で、これまでに色んな制度改正がなされてきました(基本は、個別決算→連結決算、原価主義→時価主義等)。でも、まだ足りないようです。
 これらの目的は、一言で言うとグローバルスタンダードなんですよね。→よく聞く言葉です。
 経済のグローバル化に伴い、企業が国境を越えて経済活動を行うようになると、企業を取り巻くステイクホルダーが世界中に存在することになります。→日本の株式市場も約6割が外国人投資家との事。最近は外人売りで株価が上がらなくなってきましたが・・・
 特に海外での資金調達を行うには、投資家への比較可能な財務諸表の作成が不可欠です。そこで国際会計基準の登場となります。
 比較可能な財務諸表を作るためには、世界の会計基準を共通化すれば良いのですが、実際にはそんな簡単なものではありません。会計というのは、その国の歴史、経済、社会の事情に合わせて作られた会計慣行を中心として、会社法や税法等の諸法規が関係してきます。各国固有の事情もあり、簡単に統一出来るものではありません。
しかし共通化は避けて通れない問題であり、要はどうやって変えるかです。
 少しずつ変えていくのがコンバージェンス(収斂)、ちょぼちょぼ変えずにある時点でばさっと変えるのがアダプション(適用)、→最近、英語表現がやたら多くないですか?この前も「リサイクリング」という言葉を見て、自転車操業の事かなって思いましたよ。全然違う内容だったんですが。
 これまで日本では、コンバージェンス指向だったんですが、金融庁が、2009年6月の「我が国における国際会計基準の取扱いに関する意見書」を出して、アダプションへと方針転換をし、2012年3月を目処にして、強制適用の時期を決定することになりました。2015年か2016年に適用開始となる様子です。
記事へブログ気持玉 / トラックバック / コメント


IFRSについて

2010/11/11 19:23
最近は、何と言ってもIFRSの話題が多いので、学習がてらIFRSについての記事を書こうと思います。
記事へブログ気持玉 / トラックバック / コメント


2010年11月のブログ記事  >> 

トップへ

代表社員のブログ 2010年11月のブログ記事/BIGLOBEウェブリブログ
[ ]